◆◆とある公務員の備忘録◆◆

物事を難しく考えがちな私がつれづれと気軽に難しい話をする場

かくして年齢は誕生日の前日に加算される

まとめ
○期間の起算日は誕生日
○期間は、起算日に応当する日の前日に満了する。
○よって人は誕生日の前日に歳をとる。


※応当日と表記すべきところ、民法の引用部分以外、変換ミスですべて応答日と表記していました。失礼しました。

(学年を4月2日〜翌4月1日生まれとする理由は別のエントリーで書く予定です^_^)


さて、年齢はいつ加算されるのか、歳はいつとるのか、という話。
早速ですが、
年齢計算の方法は①年齢計算に関する法律、②民法、という2つの法律で規定されています。

年齢計算に関する法律

年齢計算ニ関スル法律
1 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
民法第百四十三条 ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス

…起算日は生まれた日、期間計算は民法143条に準じる、と定められています。

民法第143条

民法
(暦による期間の計算)
第百四十三条  週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2  週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

第1項 暦に従う

第1項…週、月、年を単位にする場合は暦に従う

これは、第2項で暦の初めから起算しない時の話が出てきますので、初めから起算する場合の話ですね。

暦に従うということから、例えばひと月は必ずしも30日ではないといえます。 即ち、2月1日からひと月なら28日間(又は29日間)ですし、3月1日からひと月なら31日間となります。 とにかく、月で定めた以上、何日間かに関わらずカレンダーに従いひと月を考えるということになります。

第2項 応当日の前日に期間は満了する

"期間の初めから起算しないとき"

は、つまり、月の途中から始まる場合などですね。
応当日とは、起算日が5月3日なら3日のこと。

5月3日からひと月なら、

起算日=5月3日
応当日=6月3日
応当日の前日=6月2日

ということで、6月2日をもってひと月になります。

同じく一年なら、

応当日=翌年5月3日
応当日の前日=翌年5月2日

ということで翌年5月2日までをもって一年ということになります。

※一週間であれば、週の初めが何曜日であるかの規定がないと、初めから起算しているのかいないのか区別できませんが、現行法令では規定がないらしいです。明治時代の曜日に関する法律では日曜日だったらしいです。

第2項ただし書き 応当日がないならその月の末日で満了

これは起算日31日で30日までしかない月に満了する場合やうるう年(閏年)を想定した規定です。

ひと月の例

起算日=1月31日
応当日=2月31日←ない!
その月の末日=2月28日(又は29日)

→2月28までをもってひと月

一年の例

起算日=閏年2月29日
応当日=翌年2月29日←ない!
その月の末日=2月28日

→2月28までをもって一年

歳をとるタイミング

というわけで、既に第2項の説明で行ってしまっていますが、1歳(=1年)は起算日の応当日の前日に満了するので、誕生日の前日に歳をとることになります。

(主なケース)
起算日=誕生日(年齢計算に関する法律第2項)
応当日=翌年の誕生日
応当日の前日=誕生日の前日

期間の満了は応当日の前日(民法第143条第2項)

一年経った!というのは、誕生日前日24時であって、誕生日当日0時ではないということですね。

中身はカンタンなのに丁寧に説明すると意外と長くなるものですね。

余談ですが、窓口に来た住民の方にこれを説明したら、「そしたら、みんなが誕生日と信じていた日は実は誕生日ではなくて、その前日が誕生日ということか!」とご立腹されたときがありました。

当然のことながら、誕生日は生まれた日の前日、という話ではありません。

誕生日はあくまで生まれた日。

誕生日会は誕生日当日で全然構いません。

ただ、法律上実は誕生日の前日(の終わる瞬間)に年をとるんですよ、というお話でした。