農業×マーケティング
今さら私なんかが言及してもアレなんですが、農業にもマーケティングの視点、経営という視点が大事です。
一応、話がブレないように、このブログ内でのある程度の定義づけをしておくと、
マーケティングとは、ものづくりにおいて
1.売る相手のことを考える
2.売り方を考える
ということとさせていただきます。
ここでいうものづくりの"もの"には、2次産業的な"モノ"だけでなく、3次産業的な"サービス"や"コンテンツ"まで、何かを作り出したり施したりするあらゆるコト・モノを含みます。
1次産業については、不思議と普段"ものづくり"という視点であまり見てもらえてない気がしますが、当然農業にだって必要な視点です。
どうしたらマーケティングを標榜できるのか
学生の頃、政治学科にいながら、何を学んだら、何をこなせたら、「私、大学ではマーケティングを学んでいました。」と言えるのだろうと素朴に疑問でした。
4つのP、ターゲティング、ブランド戦略と、マーケティングっぽい言葉に出会ってもなかなか腹に落ちてきません。
大学を卒業して十数年、形や名前にはこだわらず、
売る相手(買う人)のことを考えるというマーケットインの視点を、ものづくりに持ち込むということ。
これがマーケティングなんだと思うようになりました。
これに加え、下記のように製品段階を分解して考えます。
企画・開発
↓
生産
↓
宣伝・販売
この各製品段階をそれぞれマーケットインの視点で考えることができれば、もうそれが"マーケティング"で良いのではないでしょうか。
もちろん、より細分化すれば、原料調達や生産設備の立地や装備などの論点もあるでしょうし、CRMのような顧客との関係づくりという話題もあるかと思います。
ですが、まぁ、大枠としては上記のような三段階で良いのではないでしょうか。
農家は一国一城の主
農家さんは一国一城の主です。
オーナー企業のオーナー社長です。
だから、企画〜生産〜販売の全てをこなさなくてはなりません。
作ることだけに専念している農家さんは、ものづくり企業の機能として捉えれば、生産技術、生産管理、あるいは純粋に製造のオペレーターに当たると思います。
しかし、作れば必ず売れるわけでもなくまた、差別化を図らなければ、市場に埋もれるコモディティでしかなくなり、競争優位は得られません。
文字通りワンマン企業の社長である以上、生産技術に励むだけではなく、マーケットインの視点で商品企画から販売まで、経営的な視点から経営戦略、コスト削減、資源の最適配分まで考える必要があると思います。
マーケティングの視点を持つとどうなるのか
マーケティングの視点を持った場合の行動例を挙げてイメージしやすくしてみましょう。
日本農業新聞を読んでて見つかるのは、例えばこんな例です。
市街地に近い農地で露地野菜を少量多品種、栽培していた。とれたて野菜を探しに来たイタリア料理店のシェフが、あんな野菜ないの?こんな野菜ないの?と色々質問。それに応じて作付けして行ったら常連さんになってくれた。今では畑に直接来て買って行ってくれる。
イタリアじゃなくてフランスだったかも、とか詳細は記事通りではないかも知れませんが、大体こんな内容です。
この例で成功していることは、ニーズを捉えた商品開発、優良顧客の確保、市場調査の実施、などといったところでしょうか。
ニーズを捉えても、開発に二の足を踏んでたら商機を逃します。イタリア料理店はそんな野菜を欲しがるんだ!と気付いた時に作る、という行動を起こすことが大事で、買ってくれる保証がないなら作付けしない、という態度で臨んでいたら
成功していなかったでしょう。
また、ニーズに即応したことが功を奏し、優良な常連客となってくれました。
しかも、その常連客が、次に欲しい野菜はどんなものかも教えてくれます。マスプロダクトのメーカーであれば、小売店が導入しているPOSレジからの顔の見えない情報や、アンケートなどを通した市場調査で次なるニーズを探るところ、この例の場合は、優良顧客自身から次なるニーズを直接聞き出すことができます。
大事なのは、やはり、お客さんが欲しがるものを作るということと、お客さんの声を聞く仕組みです。
当たり前のことですが、お客さんが欲しがるものを作れば確実に売れます。
まあ、日本人の食卓に多く上がる野菜を作ってるなら、マーケティングをしなくても売れる見込みは高いんでしょうけど、結局は販売動向や価格も市場次第ですし、その他大勢に含まれ、農家の顔を意識されない商品となります。
ちょっとまとまりのない文章になってしまいましたがまとめます。
農家は経営者であるので、漫然と毎年同じ作物をただ作るのではなく、経営の視点、マーケティングの視点を持つことが重要です。
何が売れるか、どう作ったら最適か、を考えることが大事です。
一部には、販路に困っている農家さんが結構いると思います。
売れるものを作る、と考えた時に、場合によっては作る作物を変えることになるかも知れません。
ですが、時にはそれぐらいの覚悟が必要となるのです。